ある日の、お父さんと娘さんの会話から。
【お父さん】
「<ご縁>って言葉を知っているかい?」
【娘】
「何か聞いたことあるような、ないような・・・おばあちゃんが、よく言ってるような気がする」
【お父さん】
「若い人は、最近使わなくなったようだね。でも、縁結びという言葉は、知っているだろう?」
【娘】
「うん。彼との縁結びを、お願いに行こうと思っているよ」
【父】
「え、もう彼氏ができたのか!?」
【娘】
「お父さん、まだ、これから探すところだから、安心して」
【お父さん】
「おどかすのは、やめてくれよ。ただ、縁を結ぶというのは、もともと<結縁>といって、人間同士ではなく仏さまとの<ご縁>のことなんだよ」
【娘】
「え、そうなの。全然知らなかった」
【お父さん】
「そうだよ。辞書で<結縁>を調べてごらん」
【娘】
「あ、ほんとうだ。最初に<仏道に入る縁を結ぶ>って書いてある。びっくり!」
【お父さん】
「もう一つ質問するよ。じゃ、どうしたら、私たちが、仏さまと縁を結ぶことができると思う?」
【娘】
「えっと・・・それは、私がお寺に行って、お賽銭を入れるからとか?」
【お父さん】
「お金が縁を結ぶということかい?そうじゃないんだ。そもそも仏さまは、私たちが気付かない時も、ずっと私たちのことを心配してくださっているんだよ。その思いが、もうおまえに届いているから、それを受けとめるのが、仏さまとご縁を結ぶということなんだ」
【娘】
「へぇ~。じゃあ、今はまだ、私と一緒で、仏さまの片思いなんだね」
【お父さん】
「そうだね」
【娘】
「仏さまが、どんなふうに心配してくれているのか、知りたくなってきたわ」
この冊子では、仏教が大切にしてきた「ご縁」という言葉を、10章に分けて、考えてみようと思います。
| はじめに | 「ごえん」①~⑤ | 「ごえん」⑥~⑩ | もっと知りたいご縁のこと |