悪事千里を走る -くらしの仏教語辞典-

戦争が勃発すると、戦場の悲惨な場面を逐一茶の間のテレビに映し出すようになったはじめは、1991年の湾岸戦争でした。この戦争の特徴は、ハイテクの使用とテレビ戦争でした。

以来、2001年のアメリカ同時多発テロ事件のときには、まるで実況中継でしたし、その後の世界各地での戦争状況もマスメディアを通じて世界中に伝えられています。

まさに「悪事千里を走る」です。

この諺は、悪い行いはすぐ世間に知れ渡る、という意味ですが、戦争という悪事は地球上を駆け巡りました。

『景徳伝燈録(けいとくでんとうろく)』に、「好事門を出でず、悪事千里を行く」とあるのが、この諺のもとです。

好いことはなかなか世に知られないが、悪いことはすぐに広まる。それが世相である。

だからこそ、達磨大使(だるまたいし)は好いことを伝えるために、インドから遠く中国までやってきたのである、というのです。

仏教は「不殺生戒(ふせっしょうかい)」の立場から、「いのちを大切に」をスローガンにしています。

一日も早く、ほんとうの平和という好事が、千里といわず、地球上を駆けめぐってほしいものです。

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