葬儀の意義
人生最後の大切な別離の、厳粛な儀式であります。遺族、知友があいつどい、故人を追慕しながら人生無常のことわりに気づき、仏法を聴聞し、自己のいのちを深く見つめる機縁としたいものです。
臨終から満中陰
- 臨 終
①亡くなれたら、先ずお取り次ぎのお寺様に、臨終の通知をしましょう。
②近親者等に連絡をします
③臨終(枕経)勤行・通夜勤行・葬儀を自宅もしくは葬議式場等どちらで行なうかの予定を立てます。また、葬儀社に連絡します。
- 臨終勤行
《意義》
人生の終わりに臨んで、阿弥陀様へのお礼の勤行です。
この勤行を、一般に「枕経」といっていますが、「ご遺体」に対し読経するのではありません。
お寺様が到着されるまでに、お仏壇の荘厳をします。
※お荘厳のしかた
◎お仏壇の扉を開ける。打敷(銀色または白色)お仏飯・蝋燭・花(派手な色の花は避ける)・焼香の準備をする(焼香炭・お香)
◎ご遺体は、阿弥陀様の前に寝かせる
①お通夜・葬儀の日時・場所・式次第の内容についてお寺様と相談する。(その場に、葬儀社の方が同席していただくとよい)
②帰数式(おかみそり)を本願寺にて受けた方はその事をお寺様に伝え、します。院号を希望されるならその事も相談しましょう。
納 棺
①湯灌(ご遺体を拭く、ほとんどの場合病院でしてくれる)をします。女性は薄化粧、男性は髭をそり白服、浴衣または日頃愛用していた衣服を着せて御棺に納めます。
②あれば門徒式章を掛け、手を合わせ念珠を掛けます。
お通夜
《意義》
葬儀の前夜であり、生前の姿・形を留め置く最後の目です。
近親者や友人など生前に縁のあった方々が仏前に集まり、故人を偲んで心静かに別れを借しか場であります。
①お寺様が到着されたら、控え室に案内し接待をします。
その間に遺族・親族・弔問客は阿弥陀様の正面に着座します。用意ができたら喪主はお寺様に挨拶に行き、お勤めをお願いします。
②勤行はできるだけ一緒に勤め、法話があれば静かに聴聞しましょう。勤行がすんだら、喪主より順次焼香します。
葬 儀
《意義》
葬場において行なう勤行であり、故人を葬送することをご縁とし、故人を偲びつつすべてのものを故うと誓われた阿弥陀様にお礼を申しあげる儀式であります。
①お寺様が到着されたら、控え室(更衣室)に案内し炎上はお寺様に挨拶に行きます。 その間に遺族・親族・弔間客は阿弥陀様の正面に着座します。
葬儀式次第
一、導師着席
一、開式の辞
一、合掌・礼拝
一、読経
一、三奉読
一、弔辞
一、読経
焼香 喪主 遺族・会葬者の順
一、遺族代表挨拶(読経終了後)
一、合掌・礼拝
一、導師退席
一、弔電代読
一、閉式の辞
葬儀の心得【会葬者等に向けて」
①焼香は、勤行中に行なわれます。氏名の読み上げ等はしませんので、静かに順序よくします。焼香後は連々かに白席且灰ります。
②式中ですから私語等は謹みましょう。また式が終わるまで退席しません。
③ご香志は「御仏前」「御香典」「御香料」「お供」と表書きし、「御言前」とは書きません。
葬儀の心得【遺族・親族に向けて」
①弔電代読は本来不必要です。必要であれば数通口とどめ、式前、式後に行ないましよう。故人の経歴等は式前に行ないます。
②一人一人が必ず念珠を用意してください。念珠の貸し借りはしません。
③焼香は、浄土真宗の作法では頂かずに1回だけします。
④焼香は、勤行中に行なわれますので、会葬者等への挨拶(答礼)は必要ありません。
遺族代表挨拶の時に丁寧にいたしましょう。
⑤日柄の吉凶(六曜=友引や仏滅等のこと)を心配する必要はありません。
⑥旅装束、手甲、脚絆、草履、三角頭巾、六文銭等を入れたり、魔よけの刀などを置く必要はありません。
⑦葬儀のお布施は、葬儀終了後(翌日以降)お寺まで出向いてお礼のお参りをし、その時に持参するのが礼儀です。また、お布施はお経の代金でもまた僧侶への報酬でもありません。阿弥陀様への報謝の行(行為)としてするものです。包み物は「お布施、お膳料、お車料、院号懇志、永代経懇志」など内容に適するように表書きをします。
改めたい言葉
ふさわしい言葉 ふさわしくない言葉
お浄土 仏さまの国 草葉の陰 天国
ご仏前 ご尊前 ご霊前
阿弥陀様(仏さま)のご加護 神仏のご加護
ご往生 悟りの世界 昇天 冥途の旅
お浄土 み仏さまの国へ 幽明境を異にされました
お帰りになられました
謹んで哀悼の意を表し、偲んで、お念仏申します ご冥福をお祈りします
お浄土で無上の功徳を得て、 安らかにお眠り(お休み)ください
私どもをお導き下さい
お念仏の中にふたたび相合う、世界が開かれています 永遠の別れとなりました
改めたい習慣
清め塩を配ったり、自宅へ帰って身体に振りかける
故人の茶わんを割る
火葬場への道を変える
お食事は(臨終)から精進料理が好ましいようです
家の中は、物を逆さに置き換えたり、白紙を貼ったりしません
還 骨
- 還骨勤行
《意義》
遺骨を我が家に持ち帰り、ご仏前の脇に安置します。故人を偲び、諸行無常と愛別離苦のことわりを厳粛に受けとめるよい機会です。家族みんなで、お勤めしましょう。
①お仏壇を安置しているお宅ではお仏壇の横に白木卓を置き、お骨、写真、法名等を置きます。
②お仏壇のないお宅では、「後飾り」(三役飾り)の台を用いて、仮仏壇を作り、ご本尊を安置し、お花、ロウソク、香炉を揃えます。その横に白木卓を置き、お骨、写真、法名等を置きます。
中陰と納骨
《意義》
中陰とは、亡くなった日から四十九日間のことでその問七日ごとに勤めることをいいます。この間は、み教えを聞き、お勤めを稽古し、作法を身につけるよい機会です。何事もお寺様にお尋ねしましょう。
①浄土真宗ではこのお勤めは追善回向の仏事ではなく、今は亡き故人の遺徳を偲びそれを仏縁として仏法の確かさをより深く聞き聞かせて頂く仏事です。
②初七日は、亡くなられて七日目に勤める仏事です。故人を偲んでで七日目に大切に勤めましょう。
③満中陰とは、四十九回目のことで、特に遺族・親族が集まって丁寧に勤めます。またこの日を機会に納骨するようにしましょう。
④四十九日が三ヵ月にかかることを心配する方もあるようですがこれは迷信です。「始終苫が身に付く」の語呂合わせにすぎません。これに惑わされることのないようにしたいものです。
法名と院号について
《意義》
浄土真宗では、「法名」といい、戒名とは言いません。それは阿弥陀様に帰依して、お念仏と其に生き抗いていく決意をするときに頂く名前です。
院号とは、宗門の護持発展に寄与された方に授与されるものです。
①法名は、本来生前に帰敬式(おかみそり)を受けてご門主様から頂くものです。出来るだけ元気なうちに京都西本願寺に参詣して法名を頂きましよう。受式できないまま亡くなら牡た方に限り住職がご門主様の代わりに法名をお付けするのです。
②法名は「鐸○○」となります。これ以外に字数の多少はありません。また、位号(居士・大姉・信士・信女など)や置き字(法名の上に院号以外に書かかれているもの)等は浄土真宗にはありません。
③院号、位号の有無によって往生成仏が左右されることはありません。