Q.納骨はいつまでに済ませるべきでしょうか

A.地域にもよりますが、特に決まりはありません。

 これは地方によって異なるようですね。お葬式が終わって火葬が済むと、すぐにお骨をお墓に持って行って、納骨するという風習のところがあるのです。お墓への納骨までが葬儀一連の行事として行われるんです。だから、お骨は一度も家に帰ることはありません。

  

 一口に関西では、と言ってみても、関西も広くて、いろいろな風習があるかと思いますので、ここでは大阪ではと言っておきましょう。まあ、私の住んでいる大阪市内では、という方がより正確でしょうね。ここでは、お骨を拾って、自宅に持ち帰ることになっています。ただし、このごろは葬儀の会館などでお葬式を行い、お骨揚げもその場所でつとめられる場合が多く、その場合はそこに持って帰ります。

   

 さて、それから中陰という期間になっていくのですが、お骨はいつまで置いておくかという問題です。その前に、火葬の後、お骨を拾って納めるときに、二つの骨壷が用いられるのが普通です。一つは大きな壺で、これは立方体の箱に収めます。これは胴骨と呼ばれます。もう一つの小さな壺は、ノドボトケを収めるもので、本骨と呼ばれて、巾着状の袋に入れます。ただ、これも最近では、その習慣が崩れてきていて、どちらか一つにしてしまうことも多くなっていますが、大きな胴骨はお墓に納めるためのもので、小さな本骨は浄土真宗本願寺派の場合でしたら、大谷本廟に納骨するためのものです。ご先祖のお墓のほかに、宗祖親鸞聖人の墓所である大谷本廟にも納骨するという習慣です。

   

 さて、ではいつ納骨するのかといえば、じつは決まりはありません。ただ、どちらかといえば、胴骨を先に、本骨は後に、というケースが多く、満中陰が終わってから、しばらくして日を決めて、お墓に納骨というのが一般的です。それまでに、お墓には法名などを刻んでおきます。満中陰法要の続きで行う場合もあります。お墓が近ければそれも可能なわけです。本骨の方は、これは千差万別で、百ヶ日のときにというお宅もあれば、初盆にということもあります。あるいは、一周忌に、亡くなった後の相続の問題とか名義変更とか、ゴタゴタしたことが一応落着した報告という意味で、大谷本廟に納骨されることも結構多くあります。要するに、もうそろそろというときにすればいいことです。

  

 なぜか世間では、お骨を家に置いたまま年を越してはいけないという俗信がまかり通っていて、近所の人に、「年内に納めなきゃダメよ」と口うるさく何度も言われたという話をよく聞きます。でも、年末ぎりぎりに亡くなればどうすればいいんでしょうね。年内になど、根拠のないことなんですから、考慮する必要はありません。

  

-菅 純和著『葬式のはなし』より抜粋-

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